徐は、写真を加工し複写することで、儚いものと永遠のものとの境界線を曖昧にし、刹那を捉えるべくエコロケーションしている。彼の写真は、私たちを取り巻く世界の無常さと流動性を強調し、存在の儚さを証明しようと試みる。その結果、日常品に寄生するあらゆる光点は、虚空と現実をつなぐ。
本展では、恒久的なものが瞬間的なものへと溶解するという謎めいた領域を掘り下げ、目に見えるものと見えないもののパラドックスについて考えるものである。光と非人間的なものの独特な相互作用を通して、アーティストの徐氏は、有形世界の中の「ボイド」に生命を吹き込む。
徐森鐸
1996年生まれ。 写真というメディウムにより、自分の内面を探り、潜在意識を捉えることで、個人の存在と世界との関係を考えようとしている。
彼の作品は、Gallery Forest(神奈川、2022年)、ニコンプラザTHE GALLERY(東京・大阪、2023年)、ARTiX3(東京、2023年)、KAI ART BOOK FAIR(東京、2023年)などで発表。
キュレーター:佳山哲巳(HARRIS)
上海生まれ。2020年にニューサウスウェールズ大学のデザイン学科を名誉学士号で卒業し、現在は東京藝術大学でキュレーションを専攻している。キュレーター、アーティストとして、ポスト・オリエンタリズムの現代キュレーションの矛盾した文化的真正性、欧米の芸術機関批判、アジアを中心としたグローバリゼーションに焦点を当てた研究を行っている。オーストラリア・デザイン協会から最優秀デザイン賞を受賞。オーストラリアン・デザイン・センターによるシドニー・クラフト・ウィークなどのパブリック・アート・プロジェクトに参加。キュレーションした展覧会やプロジェクトには、「Love Letter」(シドニー、2018)、「CONCRETE: art design architecture」(シドニー、2020)、「Glitches in Love」(東京、2023)、「定点観測のあいだ」(東京、2023)などがある。